臨時セミナー番外編 「陰睾」

前回の日記のレスで 今本先生に陰睾について、
貴重な文献を載せていただいたので
番外編として、記載致します。
お題がおちゃめで、気に入りました。(^_^)v

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『きんたまいっこ』      by 今本成樹

金玉が一個しかなくて、一個は体内にあるってことです。

せっかくだから論文(要約)なんていうものを ここに載せてみましょうか?
こういう形で我々は情報を収集しています。  

「犬の潜伏睾丸」
Canine cryptorchidism.

Source: JOURNALS ABSTRACT
(Vet Clin North Am Small Anim Pract 21[3]:533-44 1991 May REVIEW ARTICLE 37 Refs)
Author(s): Romagnoli SE; Department of Small Animal Clinical Sciences,
University of Minnesota College of Veterinary Medicine, St. Paul.

犬の潜伏睾丸は
限性の常染色体劣性遺伝により先天性奇形である。
特に小型犬種やインブリードを行なっているなど
特定の犬種では発生率が高い。
仔犬が罹患している場合は、その両親犬はキャリアーである。

片側の潜伏睾丸では生殖能力はあるが
このような欠陥を減少させるためには、
罹患している個体およびその兄弟姉妹を
繁殖プログラムから排除すべきである。

アンドロゲンおよび性腺刺激ホルモンによる治療が試みられたが
結果は不成功であった。
後に精巣の腫瘍や精巣捻転を起こすことが多いため
潜伏睾丸は両側とも摘出手術を行なう事が 選択される治療である。

■犬と猫の潜在睾丸発生率
Vet Rec 152[16]:502-4 2003 Apr 19
Yates D, Hayes G, Heffernan M, Beynon R

54ヵ月間にわたり、3518頭の犬と
3806頭の猫を去勢しました;
犬の240頭と、猫の50頭が、潜在睾丸でした。
血統は、特にジャーマン・シェパード、ボクサー そしてチワワが、
平均以上の発生率でした。

犬では、右側鼠ケイ部潜在睾丸が、最も一般的で
次いで、右側腹部潜在睾丸でした。 罹患した睾丸の位置は、
ボクサーで、最も可変的でした。
猫では、左、または右側鼠ケイ部潜在睾丸が 最もよく 見られました。

■若齢犬から停留睾丸を摘出するかどうかを判断するための判断分析図
Peters MA, van Sluijs FJ.
Vet Rec 2002 Mar 30;150(13):408-11
Decision analysis tree for deciding whether to remove an undescended testis from a young dog.

判断分析図を、1歳齢で潜在睾丸のイヌにおいて、
予防的睾丸摘出を受けた、
もしくは受けなかったイヌに予期されるであろう寿命を 評価するために作成した。
図は、文献からの潜在睾丸に関する危険因子、
手術後の合併症の発生率に対するデータを用いて作成された。
睾丸摘出をせずに予想される寿命は、
睾丸摘出後の予想される寿命と有意差はなかった。

 

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