アレルギーについて  
        新庄動物病院  今本成樹

今回は、アレルギーの話です。

単純にアレルギーというだけの話をしても
面白くも何ともないですから、
ちょっと変わった切り口で話をしていくようにします。
できるだけ興味を持ってもらって、
少しでも読むだけで知識を吸収できますように、、、
というコンセプトです。

今回の書いているもののベースは、
「目指せ、単行本化!」という、
私の個人ページの内容から若干パクっています。
飼い主さん向けに書いたので、 少し脱線気味ですけど、
まぁ、それもよしという感じで読んで下さい。

量は、かなり多い目です。 気軽な気持ちプラス、
ちょっとの気合で 読んでいただけたらいいかなと思います。

まずはアレルギーです。
アレルギーってなんでなると思いますか?
まずアレルギーを引き起こすのは、「タンパク質」です。
このタンパク質というやつがいなかったら、
アレルギーはないです。

アレルギーの何が問題かと言うと、 痒くなるってことですよね。
さて、じゃあ、どうやって痒くなってしまうのか?
それからスタートしましょう。

体内にタンパク質が入ってきます。
例えば、食事。 例えば、呼吸に伴う吸引。
そしたら粘膜にまず接します。 花粉症を想像してください。
鼻の粘膜が刺激を受けるんです。
「どうやって刺激受けるねん!」って、思うでしょ?
それを書きますね。

花粉でも何でも、 入ってくると細胞の周りに取り込まれます。
細胞って、 イメージ的には、
いろんなモノに対して アンテナを伸ばしていると考えてください。
ウニのように、いろんなアンテナが出ています。
そこに何か異物がひっつくと警戒反応を起こすわけです。
ただ、ほとんどの場合には、
一個だけのアンテナに対して
何かがひっついても反応はしないようです。
ちなみに、空気などは分子の大きさが非常に小さい為に
(だって目に見えないでしょ?)、
どんなに吸引してもアレルギーを起こしませんし、
それくらいでアレルギー起こすなら、
地球上に生存できませんよね。

でね、ウイルスでも、タンパク質でも
何でも結局はタンパク質とか、 アミノ酸とかみたいな、
でかい分子の固まりなわけです。
だから、分子を解析していけば 相当長い鎖のようなもので、
構成されているのです。
イメージはだからウニと鎖です。
ちょっとイメージがわかない人は、
紙と鉛筆を用意して書いてみてください。
ウニと、長い鎖を書いてください。

で、イメージするなら、
空気は点の様なものの大きさです。
アンテナ一個に届いてせいぜいの大きさです。
ウニのアンテナで二個以上に接していないと
反応がないということを考えたら、
空気は大丈夫と・・・。 そう考えてください。

でね、タンパク質で、
特定のくっつき方と特定の形をしているモノ、
そしてそれに反応するアンテナがあることが
アレルギーを引き起こす条件です。

じゃぁ、ウニに鎖を引っ付けましょう。
そしたら、ウニ(細胞ですけどね)の中でどうなるのか?
と言いますと、
細胞の中で、「おい、ヤバイ奴がきた。」と、いうことで、
細胞からヒスタミンというものが出てきます。
ま、一種の警戒警報ですね。

じゃぁ、ヒスタミンは何をするのかというと
警戒物質ですので、体内の免疫物質を出します。
まぁ、細胞からの110番に対して
警察が駆けつけるようなものです。
で、一時的な炎症状態になります。
ヒスタミンが痒さを表します。 これがアレルギーです。

紙に書いてみるなら、ウニから痒み物質がでて、
それに反応して免疫物質が
体内のどこからかやってきます。
これがアレルギーシステムです。

一個以上のところに、
一つの巨大な蛋白質がひっつくと、、、というのがミソです。
じゃぁ、どんなタンパク質に対して アレルギーを示すのか?
ということがポイントになります。
例えば、牛由来なら牛の蛋白の形があるんです。
そしたら、牛乳とか、牛肉、チーズなどに 反応を示してきます。

鶏肉なら、鳥製品はほとんどだめなこともあります。
また、鶏肉に似たたんぱく質を持つものに対して
交叉するようにアレルギーを示すことがあります。
アレルギーがあると、
いくつもの食物にアレルギーを示す理由はここにあります。
一時期アメリカ同時多発テロで、
髭生やした顔の濃い人間を見かけたら、
みんながテロリストという感じで、警察に通報してたでしょ?
あれと同じです。

実は、鶏肉の蛋白に警報を発する免疫システムのはずなのに、
違った似たような蛋白に対しても
警報システムが作動する。そういうこともありえます。

じゃあ、こういう免疫システムは遺伝するのか?
ということですけど、遺伝しますね。
ただ、その免疫の強弱には、兄弟間での差はあるようです。
免疫が遺伝すると書くと小難しいですけど、
体質って遺伝するでしょ?あれと同じと考えましょう。

わかりやすい例を出しますね。
耳クソを思い浮かべてください。

カサカサの耳クソと、グチョグチョの耳クソ。
人ではあれも遺伝すると言われてます。
っていうか、何でもかんでも遺伝するんですけどね。
そうでなかったら、人がこの形を保っていけませんもんね。
昆虫でも遺伝子していますからね。
どこかの研究者が、 あの黄色と黒のクモの模様も
遺伝だということを突き止めていました。
ある意味すごいなぁと感じました。
当然、それよりも高等な生き物である犬では
免疫システムも遺伝しています。

さて、アレルギーの治療は、どうしたらいいと思いますか?
答えは簡単です。
アレルギーになるモノを排除したらいいんです。
言うのは簡単、やるのは大変です。

でも、最近ではいいモノが出ています。
タンパク質を特殊な製法でぶった切って、
(さっきのウニと鎖のイメージの奴です。
 あれの鎖をバラバラにしてみてください。)
タンパク質を短くして、
細胞のアンテナに届かなくしてアレルギー警報を出なくする。
そういう処方食が出ています。
そんな作り方ですので値段が高いです。
ただ、食事アレルギーには抜群に効果的です。
でもね、さっき言った様に
似たようなタンパク質に反応を示すから
食事は平気でも花粉はダメとか、
そういう事だってありえます。

最近では、私がお勧めするのは、 ホームメイドディナーです。
現在家で愛犬などのご飯を作ったりしてる方というのを
よく見かけます。ある意味ブームですね。
ま、ホームセンターで8kg890円!とか、
いうものよりは、はるかにいいでしょう。
っていうか、いいです。(きっぱり)

せっかく読んで下さる方がいるんだから、
食事の話もおいしいところだけを書かないで、
いけないところ、こんな事したらだめですよぉ!
みたいなことの方を多く書いていきますね。

まずダメなもの、、、、これがけっこうある。
一般的なフードで、
私が推薦しないものってかなりたくさんあります。
たとえば、、、、缶詰タイプのものを開けてみてくださいな。
そしたら、製造から何ヶ月もたってるのに、
グリンピースが緑、しかも新鮮そのものの緑。でしょ?
そういうのはどうでしょうか?
人間では、わけのわからない液体に使ってるおつまみとか、
保存料入りの缶詰。 あれって普通の人一日一間食べますか?
食べたら体壊しそう。。。とか、 心のどこかで思ってませんか?

で、わんこの話です。 わんこのご飯で、
なぜいろんなタイプの緑とか赤とか、
いかにも!って色の付いたものがあるんでしょうか?
なんで色つける必要があるんでしょうか?
にんじん風味?これは緑黄色野菜ですよぉぉ。。とか、
そんなアピールをみえみえでしてるタイプのものは却下でしょう。
ちなみに、、、、青汁っていうのは、
人にはいいけど、犬にはちょっと厳しいものが入っています。
なんか、青汁のメインの野菜がだめなんだそうです。
ちなみに偽物青汁は大丈夫だと言ってましたよ。
で、ダメなやつの名前はケールなんだそうです。
ケール入りは危険とか言われました。
当然そう言われて試すほど
マッドサイエンティストではないので試してません。
そしてなぜか?という理由までは詳しく知りません。
すいません。

ところで、添加物って、どのくらい混じってると思います?
謎の粉みたいなのが入ってる場合もあるんですよ。
人のコンビニの弁当だって、
防腐剤と称して腐らない為の魔法の粉かけるんですもん。
動物なら当然もっと、、、ずっと入ってると考えられます。
色つけていかにもうまそうに人の目で感じさせる。
明らかに人の動物に対して
自分の感覚を押し付けてるものに対しての 、
商業戦略です。 動物に色はほとんど関係ありません。

世界各国で
日本ほど食事の色彩や繊細さ にこだわる国はないでしょ?
それを利用しての戦略と思います。
したがって、着色料は、
ドッグフードやキャットフードに添加されるべきではないでしょう。
添加してあるものに対しては、
私は理由をむしろ聞きたいですね。
そして、案外安心してるのが、表示されてないから。
動物の方には表示する義務というのはないんですかね。
よーーーーく、見て下さいね。

かなりアレルギーから話がそれていますね。
まぁ、愛犬の健康のために、、、
色々と知ってあげてください。
「主な原材料」 とか、 
「主要成分」  みたいな書き方されてませんか?
主な、、、物以外に
当然接着剤なんかも使われてるかもしれないし、
着色料も入ってるでしょう。
防腐剤処理もしてあるだろうし、、、、 で、
結局全部表示されてるものが一番
今のところ嘘の申請してない限り安全ということになります。
これで、かなり食事に対して 厳しい見方になると思います。

最近、面白い症例を診ました。
今までプリンを食べても大丈夫だった犬が、
いきなり深夜に顔面が腫れて痒くて仕方ない状態できました。
痒そうでした。で、何食べたかを言わないんです。
よく聞くと、「おっぱいプリン」だったそうです。
成分を見せてもらったら、添加物違う程度だった。
へぇ、こんなんでもアレルギーになるんだ。と思いました。
だから添加物侮るなかれ・・・。です。

そしてアレルギーは、ある程度蓄積されてなるんです。
だから、人でも40代で花粉症って人いますよね。
犬でも、いきなり花粉アレルギーってこともあります。
それをお忘れなく。

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