遺伝病第7回

(関節疾患) 飼い主さん向け遺伝病勉強会                                 新庄動物病院 院長 今本成

前回は、ほぼ獣医学雑誌向けに書いた内容を
そのまま載せさせていただきましたので、
ちょっと難解だったと思います。
で、遺伝性疾患を持つ犬の種類の豊富なことに対して、
驚いていただけたら 本当にそれだけで満足という感じの内容でした。
はっきり言って ヤバイくらいの種類に発生が認められます。
だからこそ、情報はどんどん発信できるものが
発信していかなくてはならないのです。
そして、知識の共有とともに、
知識の伝達者となって
皆様が広げていってくださることを望みます。


こうやって毎回書かせていただける場を
もらえることは大変光栄であり、
そして、情報を公開できるので非常に嬉しく感じています。
ただ、情報の発信が一方的になってしまうので、
本当にきちんと伝わるのかということが心配です。
結局私は、動物病院やっていますけど、
なんでやってるの? って聞かれたら好きだからであって、
理想の病院を作るだけであって、
特にそれ以外に目標はありません。
自分の犬がヤバイ状態になったときに
何もできないのが歯がゆくて 獣医になっただけですので、
やりたいことをやるだけです。

何がやりたいの?ってきかれたら、
愛犬家として、ちょっとでも他の人よりも
病気については知っているはずなので、
こういうのを生かしていろんな人が困らないように、
情報を伝えていくことが役目かなと考えています。
何かまとまった形としたもので、
本にでもできたらいいですけど、
自費出版するくらいのお金もないし、
そんな偉そうでもないので、
ちょこちょこと好き勝手に
御好意により書かせていただいております。
へたくそな文章ですけどお付き合いください。

そして何か聞きたいことや
よくわからないことがありましたら、 どうぞ質問してください。
数人集まれば、勉強会など、
どこかでランチでもしながらやるのもいいと思いますし、
その際にはどこでも行きたいと思います。

さて、今回は 関節の疾患というものを書かせていただきます。

まず、大切なのは関節って何?ってことです。

以前にデータだけ紹介していましたけど、
関節の病気を理解するには到底足りない内容でしたので、
今回はきっちりと、書かせていただきます。

『関節というのは、  
 基本的には骨と骨がつながっている部分で、  
 適度な可動性を持っているものです。  
 様々な組織により支持されています。』


そ の支持している組織が
非常に大切な役割を果たしているのです。
これは後で書いていますので、そちらを参考に・・・。

そして、関節は
必要な時には必要な方向に必要なだけ動くし
力をこめるときには関節が踏ん張ります。
時には骨と骨が擦れあうのを
防ぐよな役割も果たす関節液などもあり、
非常に関節って綿密で細かくできています。


そんな関節が、動かなくなるには必ず原因があるし、
動かせなくなるのにも原因があります。

先天的に関節に異常がある場合には、
やはり形成不全となる場合が多く、
外科的処置が必要となる場合もあります。
後天的な場合には、何らかの原因があるので、
早期の処置において、損傷度合いを最小限にできます。
もともと後天的の方が、
形成異常がないので手術するにしても楽です。
バラバラになってる骨折とかはまぁ特別な例ですけど・・・。


では、関節の異常はどうやって見極めるの?って話しになります。


それはレントゲンで、見極めましょう。
別にCTとか使ってもかまいませんけど、
そんな高価なもの使わなくてもきちんとレントゲン撮ればわかります。


では、本題へと入っていきます。


私の病院では、大型犬が非常に多いので、
よく飼い主さんのほうから聞かれますし、
頻繁に話をしています。
インターネットの発達による情報過多の中で
(少々誤った解釈と取れる説明もなされているページもありますけど
探せばいろんな情報があるものです。)
ネット上の解釈はそれを読む人に任されます。
ただ、間違った解釈をされていると
その誤解を診察室で解くのは大変です。


例えば、股関節に対して
ビタミンCがいいという論文が出ました。
それを読めば、ビタミンCって
正義の味方のような理解をしてしまうんです。
でも、ちょっと待ってください。
何で、股関節のことで悩んでるんですか?
股関節の病気があって当然と思ってません?

まず、正常な子の場合には、
そんな余計なビタミンなんか必要ないです。
まず最初に、 遺伝するような病気の犬を繁殖に使って
無理に増やしているということから
問題はスタートしてるんです。

『犬が悪いわけではなく、無知の繁殖を行う方が悪いのです。』

そしてその繁殖の結果、
ブリーダーには利益がもたらされて、
そしてさらに繁殖を繰り返します。
計算すると、昨年度では、
22000頭のラブラドールが 新たに登録されています。

日本での調査では46.7%のラブラドールに
遺伝性疾患があるとされています。
環境的要因が3割は占めるとしましても、
11000
頭ほどは、
新たに関節疾患をいずれ患う可能性があるということです。

股関節形成不全は、
環境や栄養面など複数の原因からなる
遺伝性の多因子疾患です。

遺伝子は、臀筋群、支持軟部組織、軟骨に対して
影響を与えますが、骨格自体には影響を与えることはないため、
急激な成長をする犬種にほど発生しやすいのです。
骨が出来にくくなる遺伝子があるというわけではないのです。
骨格は、生まれた時には正常ですが、
成長や、運動、亜脱臼を繰り返すことで
関節の形状がおかしくなります。

難しい言葉でいうと、股関節の異形成というのは、
「寛骨臼(股関節のくぼみの部分です。)と
大腿骨頭(大腿骨の出っ張り)の表面を
維持する軟部組織の破綻」と言えます。

したがって、表面を維持するのに
十分な筋肉量や周辺の軟部組織、
寛骨臼の完全な骨化がきちんとできるような方法が見つかれば、
かなり予防できるというわけです。
ただ、遺伝的要因はかなり関与しています。
両親とも股関節形成不全だと、
正常な股関節の子供は7%しか生まれてきません。
当然、繁殖の際に 制限をかけるということが重要となるのです。
7%しか正常な子が生まれないという
きちんとした文献的データがあるというところだけでも
頭に入れておいてください。


おー、遺伝病って怖い!って
われたかもしれませんけど、
今回はもう少しいろんなデータを見ながら書いていきます。

まず、子犬の時期から考える予防・対策です。
股関節疾患の3割は環境因子という点に注目しています。
さらに、骨の形成は正常に進むという点も注目です。
じゃぁ、守ってあげましょう!というところに着目してみます。

60日齢において、平均体重を超える子犬では、
後々の股関節形成不全の発生率が高く、
さらに発症時には重症であることがわかっています。
また、発育速度を遅延させる為に
人工飼育を行った帝王切開分娩の子犬の方が
自然分娩の子犬よりも股関節の形成不全の発生率が低いという
結果も得られています。


同じ遺伝子型を持つラブラドールでの
給与量を変更しての文献では、 体重管理をきちんとした犬では、
股関節形成不全の発生率(OFAによる結果)は29.2%。
自由給餌群 (好きに食べちゃってくださいという育て方)では、
66.7%ということがわかっています。
いかに体重管理が大切であるかがわかると思います。
また、遺伝的要因により
どのように体重管理をしても発生してしまう場合も
あることを認識していくことも重要だと思います。

余談ですけど飼い主さんの3割は
自分の犬は体重オーバーだと思っている
アンケート結果もあります。

体重管理は本当に、大変ですよね。
わかっていてもできない。私のダイエットと同じです。
人間のダイエットと同じで、
マメに体重測定してグラフを作るのが
飼い主さんを刺激するにはいい方法だと思います。

ま、ダイエット徹底的に失敗している人間が
書いたところで何の説得力もないですけどね。
ちなみに私のデータでは、
全世界で99.6%が成功したダイエット!
これ失敗してます。
あと、80%以上に効果が、、、
ってやつも効果ありませんでした。
あと何種類か80%超える成功率のものも失敗していますので、
けっこう私はレアな人間ですよ。

まぁ、とにかく体重管理は
自分では大変だということで、
人間がやってあげることになります。
ちなみに、市販のフードでもライトとか、
肥満犬用などとありますけど、
あれってカロリーがほんのちょっと低いくらいで、
たいして普通の奴と変わりません。

じゃぁ、何が変わるかと言いますと、
飼い主さんのやる気です。
きちんとした給餌量を守れば
肥満にすることはないと思います。
あとは、食物繊維をたくさんあげることで、
満腹感は得られます。
所詮ダイエット食なんてその程度です。

大型犬では、どうしても関節疾患を
気にされる飼い主さんが多いのですが、
その中で若干間違った知識も蔓延しています。

例えば、ビタミンDについてですけど、
ビタミンDは、カルシウム代謝において
重要な役割を果たしています。

過剰投与は、
有害な作用を引き起こすとされています。


また、大多数のフードでは、
ビタミンDの含有量は、推奨される量の
2倍から10倍も入っているそうです。
大きな犬だから
しっかりと成長させてあげなきゃ!という気持ちが、
逆効果になっていることもあります。

カルシウムをたくさん与えるという方法も、
骨の成長が形成不全に
影響を及ぼさないことを考慮すると、
あまり意味はないと考えられます。
グルコサミンは、
長期使用にも優れているサプリメントで、
正常なコラーゲンなどの増加を引き起こす効果を持ちます。
生物学的利用能や、 体内動態、排泄パターンは
人と類似するといわれています。

コンドロイチンは、軟骨保護作用があり、
人での骨関節炎の疾患に対して
投与を行った文献では、
運動性の改善が認められています。

また、近年では
これらにアスコルビン酸(ビタミンC)を混ぜて
投薬したビーグルを用いたの研究でも、
いい結果が得られています。

しかし、ヘマトクリット値(貧血の数値)や赤血球、
分葉核好中球
(慢性炎症などの時に出現する白血球の細胞のひとつ)などに
対症群と比較して若干の変化が認められています。
少し気になりますね。

サプリメントはあくまでも
私はサプリメントと考えています。
補助的に使うならお勧めしていますけど、
劇的な効果は求めていません。
劇的な効果があるなら、
それは医薬品・もしくは、
治療薬として認定してもいいのでは?
と思えるからです。

運動制限や体重制限に頼りながらの
サプリメントならいいと思いますけど、
サプリメントオンリーでの効果を期待するのは、
ちょっとスジが違う気がします。

ただ、サプリメントなどで調子のいい場合に、
油断してサプリメントをやめてしまうと
再発する傾向が強いように思います。

飼い主さんがいかにがんばるか?
ということが非常に大切だと思います。
不運にも関節の悪くなる子がやってきた場合には 、
飼い主さんが助けてあげてください。

  ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ‐‐‐‐‐‐

次に、実例を見ながら少し話をしていきます。

(写真1)

股関節の異常を見逃してしまうかもしれない例です。
(画像 写真1)は、当院に転院してきた例です。
10ヶ月齢の雑種犬、雄です。
手術の必要性を他院で強く求められて、
それのセカンドオピニオンを求めて来院しました。
もともとこの病院は、
軽度の関節疾患でも
即手術というタイプの病院ということだったので、
飼い主さんが心配になったそうです。

関節疾患というのは、
まずは内科的療法を考慮してあげるのが
優しさであると思います。
ちなみに、何度か書いたと思いますけど、
飼い主さんの満足度で考えるなら、
内科的療法では70%が、
外科的療法では80%が満足するそうです。
じゃぁ、よほどのことがない限り、
内科療法で、、、となると思います。

外科療法のメリットは
劇的な改善と思われているかもしれませんけど、
術後に週間程度は跛行が残りますし、
長いと数ヶ月跛行が認められます。
「あ、これ手術した方がいいですね。」って獣医師が言えば、
鵜呑みにしないで、本当に必要かどうかの可能性を
考慮していってあげることは大切だと思います。

手術が本当に必要な子はぶっちゃけ少ないです。
専門病院でもないのに、年間これだけ手術しました!
って感じのアピールをやってるところは、
過剰なオペをやっている可能性があるそうです。
ちなみにうちの病院での骨関係のオペはチラホラです。

話を戻します。

今回の子では、
OFA(アメリカの整形外科の専門の先生が診て下さる検査機関)で
きちんと股関節脱臼を診断できるとされている
12〜18ヶ月齢未満でしたが、レントゲンを撮影しました。
見事な股関節脱臼です。
手術は希望しないということで、内科的な処置のみになりました。
跛行が数ヶ月前からあり、慢性的であったため 、
非観血的(切らないで治す)な整復はできませんでした。

来院当初は、跛行が認められたものの、
内科的な処置で跛行は完全に無くなりました。
繁殖には使わないで下さいということを、
何度も何度も言いました。

現在では(24ヶ月齢、関節の状態に変化はなし)、
跛行もなく、順調です。
ただ、レントゲン像には変化は認められません。
相変わらず外れています。

もし、こういうタイプの子が フィラリア予防ででも来院したら、
レントゲンは撮影しますか?
通常は健康診断などで、レントゲンを希望されないと、
発見できないと思います。見逃してしまうのです。

したがって、繁殖に使う際には
( 特に大型犬では)レントゲンを撮り
股関節や肘関節のスコアリング
(どれだけ形が変化を数値化したりデータ化してカルテに記載)
をすることをやっていく必要があると思います。
各先生方と飼い主さんが団結していくことで、
今後日本においても遺伝的要因からくる 股関節異常は
減少させる事ができると思います。
実際、ヨーロッパ諸国では、
約半数まで獣医師やブリーダーさんの努力で減少させた例があります。

肘関節形成不全(Elbow Dysplasia)
せっかくですので、肘関節の病気の話を少々・・・。

犬の肘関節形成不全という用語は、
獣医さんの中では、
肘関節の発育異常症候群として知られています。
肘関節の骨軟骨症は
高い遺伝性素因や外傷、栄養などが密接に絡み合って
肘関節形成不全の発生に関与している
多因子性の疾患と考えられています。

主に大型犬・超大型犬の
5〜9ヶ月齢において多く発症します。
例外的に特定の中型犬やバゼットハウンドのような
軟骨異栄養型の犬種にも認められることがあります。
けっこう足が曲がっている子が多いですけど、
積極的な主術はしてません。
実際治りも悪いし、再発もしやすい印象があります。

5〜9ヶ月齢という時期に
前肢に跛行があった場合には、 予後の観察は重要となります。
また、それくらいの時から 体重管理・運動の管理などを
行うことも環境的原因という面からの
悪化を防ぐという意味においては、 有効な手段なのかもしれません。
(サプリメントも使います?)

そして何よりも 飼い主さんに関心・知識を持ってもらうことが、
早期発見、早期治療へとつながると思います。

肘関節形成不全では、
結果的に二次性の関節炎に進行して、
成犬になった時に重度の跛行を示す原因となります。

肘関節の関節炎となると 、
 @関節液量の減少   
 A前肢の跛行  
  B可動域の減少 などの症状が認められます。

診断には、整形外科的身体検査、レントゲン検査、
CT検査が用いられます。
5ヶ月齢以上の犬の肘関節最大屈曲位ラテラル像において、
もっとも大きな骨棘 (関節鼠、野球選手などが肘につくってる遊離軟骨)が
2mm以上で軽度の関節炎、2-5mmでは、中等度、
それ以上で重度の関節炎が存在すると考えてください。
痛いです。 そしてこのような場合には、
必ず対側の撮影も行い比較を行います。
比較対照がないといけないからです。

肘関節の疾患は大型犬に認められる疾患でありますが、
その予後は病態や治療方法により
大きく異なることも頭に入れておく必要があります。

繁殖に用いる場合には、
特に大型犬では検査は必ず行うことをお勧めします。
発生率がかなり高いということと、
無症状でも関節炎の存在がある場合が多いという理由からです。
実際、ロットワイラー(46%)     
    バーニーズマウンテンドッグ(40%)、     
    セントバーナード(30%)     
    ジャーマンシェパード(19%)     
    ゴールデン・レトリーバー(19%)      
    ラブラドール・レトリーバー(15%)で、
肘関節の形成不全が認められています。

また、無症状だからといって、 何もないのかと言いますと、
症状の出ていないバーニーズマウンテンドッグの調査では、
正常だったのは49%で、 軽度の関節炎(26%)、
中等度の関節炎(16%)、 重度の関節炎(9%)という報告があります。
さらに50%の症例では、両側性に罹患するために、
明らかな跛行は認められていません。
ただ、ちょっと前肢の歩様がおかしくなる程度です。

我々獣医師が診察するに当たって、
大型犬で「ちょっと歩き方がぎこちないんです。」
という主訴には注意してみる必要があると思います。
治療法は、内科的には体重減少や運動制限、鎮痛剤の投与でしょう。
外科的に行うなら、遊離体の除去、近位尺骨骨切り術
(骨切りとるというシンプルな手術、けっこうなれないと大変)
などがあります。
病態によって治療方法や予後が変わってくるんです。

全部書くと、読んでいてつまらないと思いますので、省略です。
詳しく、、、となれば、どんどん書きます。
今回は大まかな流れだけでお許しを・・・。
実はまだ書きたいことがあるので、もう少し読んでやって下さい。

 

◎犬種特異的多発性関節炎  

犬種の特性というのが、関節疾患についても認められます。

1歳以下の秋田犬では
遺伝性の多発性関節炎が報告されていますし、
ボクサーやワイマラナーでも髄膜炎を併発したりして
散発的に認められることもあります。
このような犬種的な要因があった場合には、
治療で免疫抑制療法を用いても、反応は乏しいようです。

また、スパニエル種では、
筋炎を併発する 家族性の多発性関節炎が報告されています。
シャーペイでは、 腎アミロイドーシスと、
多発性関節炎が認められています。
(シャーペイ足根関節症候群とか  
  シャーペイ熱とか言われています。)

色んなものがあるなぁって思っていただけたら幸いです。
ただ、遺伝病はいつも言いますように手薄な分野です。

私のようなものが 30前から雑誌で連載もてるほど
、手薄です。 まだまだ発展の余地もあるし、
日本は遅れているということです。

誰が頑張るのか? 獣医?ブリーダー?飼い主さん?
もうそんなの誰とは言ってられないでしょう。

みんなです。
みんなやっていくべきだと思います。

最後に、「関節疾患といえば、外科適応!」と
私も考えてきていました。
ただ、飼い主さんは できるだけ切らないで治してあげたい。
というのが本音なようです。
したがって、初診⇒即手術よりも、
まずは環境的なものを考慮したり、内科的な治療法、
体重管理などを行った上で、
外科適応というのが 求められていることが多いと思います。
(早期手術の方が予後良好という場合には、   
  それを説明してから!)で、
膝関節のグレードが低くても 強引に手術してることってあるんです。
見て聞いて驚きました。
いまさらうまくいったからって、攻めることもないと思いますけど、
私は意味のない過剰医療ではなかったのか?
いたずらに体に負担をかけたのでは?と思います。

また、毎回書いていますけど、
犬種ごとについての考え方も持たないといけないと思います。
関節疾患って大変です。
5年10年とやってる先生でも大変だそうです。
で、突然ですけど、
前肢の跛行の原因となる 成長障害を書かせていただきました。
いろんな部分に いろんな病態が犬種によってあるでしょ?

◎前肢の跛行の原因となる成長障害

☆場所 ☆犬種

肩 → 離断性骨軟骨症 大型犬
   (ラブラドール以上の大きさの犬は罹患する可能性がある。)

肘 → 肘関節癒合不全離断性骨軟骨炎・鈎状突起癒合不全  
   ジャーマン・シェパード バゼット・ハウンド
   ラブラドール・ゴールデン・レトリーバー  
   ロットワーラー

手根骨 → 橈骨および尺骨の成長障害による変形    
   グレート・デン    
   アイリッシュ・ウルフ・ハウンド

その他 → 汎骨炎    
    ジャーマン・シェパード

さてさて、そろそろおしまいにしますね。
いつもいつもだらだらと診療の合間に書いていますけど、
だいたいここに書いたことにいろんな枝葉をつけて、
診療室ではお話させていただいてます。

新たな病気が見つかれば、
最低でも15分から20分は現状、予後、
治療法、治療法による予後の相違、 今後考えられるべき事態、
これらを説明した後に、
治療方法をいくつか提案させていただきます。

どれもいい方法を提案させていただきまして、
飼い主さんに選んでもらいます。
どのような場合にでも、
複数選択肢を用意できる限りはやります。
子宮蓄膿症で即手術という場合などは特例で、
手術しないと危険だという話を延々しますけど・・・。
で、何が言いたいのか? と思われたかもしれませんけど、
獣医さんとの付き合い方という面では、
日本はまだまだなんですね。
何をやってあげればいいかわからないので、
主治医の先生に任せっきりになる。
これではいけないのです。

情報社会がどんどん進む中で、 あふれかえっています 。
調べて、わからないことは聞けばいいのです。
それに対して きちっと答えるのも獣医の義務だし、
飼い主さんに知識で負けるようなことがあっては いけないと思います。
私は、そうやって挑戦してきてくださる飼い主さんが 大好きですし 、
徹底的に話します。

納得するまで、話しを聞いて下さい。
そして獣医師をうまく使ってください。

 

 

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